老舗のユーザーエクスペリエンス

肉だ!肉が食いたい!焼肉に行こう!っと思い立ち久しぶりに焼肉屋に電話をした。

電話の向こうでおばちゃんの明るい声が響いた。
「あー前田さん!いつもありがとうね〜!」

私の苗字は、電話越しでなくても一回伝えただけでは伝わらないのでいつも電話で予約するときは決まっている。その名前が前田だ。

「(…いつもありがとうね!っと言っているがここを利用するのは数回くらいだけどな)」っとも思いつつ、おばちゃんの明るい声といつも話している時のような口調に嫌な気がしない。きっといつもの前田さんと間違っているのかな?とも思いつつ無事に予約名【前田】で予約を取り電話を切った。

ここの焼肉屋は個人が経営している老舗の焼肉屋で常連らしき人たちがいつも利用している。
「いつも、ありがとうね」っと言われるとなんだか自分が常連になった気がしてまた来たくなるし、誰かを連れて行きたくなる。

思い出してみるとおばちゃんは常に「いつもありがとうね」っと言っている。これは魔法の言葉か。

 

老舗のユーザーエクスペリエンス

老舗と言われる飲食店を時々開拓してみたくなる。

20代前半ではなかなかできなかったが、30代になってからは独りで美味しい新たな店に入ってみたくなる。美味しい料理が第一の目的ではあるが目的はもう一つある。それは老舗のユーザーエクスペリエンスを知るためでもある。(孤高のグルメに感化されていることは否定しない)

 

ユーザーエクスペリエンスは、店が提供しているサービスや製品をユーザーが利用して得る経験や体験のことだ。UXとも言われる分野だが、事業を作り上げていくには欠かせない分野である。

 

話を戻し、老舗のユーザーエクスペリエンスについてだが、見事に店それぞれの特徴がある。焼肉屋のおばちゃんのように誰でも常連のように対応してくれる店もあれば、無愛想な店もある。それぞれお店の雰囲気やサービス、対応は違うけれど共通しているのは人間味を感じれることだ。

 

「老舗だから、おじちゃん、おばちゃんがやっているからだろう?」っと思うかもしれないが、そこでアルバイトをしている学生らしき若者にも同じ空気を纏っている。

 

私なりの結論だけど、さまざまな老舗が老舗になった理由は、美味しい食事以外にはこの【人間味を感じる】ということが大切なのではと考えている。

ただ愛想よく注文を取るだけでなく、何か一言話しかけてくれたりする。特に初めて利用するお客さんには店なりの気遣いがある。

 

ビジネス思考と老舗思考

ビジネス思考で考えると1人のお客さんを丁寧に扱えば、その人が家族や友人を連れてきてビジネスが上手くいく!という考え方がある。私は半分当たりで半分大間違いだと考えている。

老舗の皆さんはその考えはあまり無いのか、やはり目の前のお客さんと話しをしている。その先のお客さんなど見ていない。
もし、仮に目の前のお客さんではなく、その次の見込み客を中心に考えたサービスを提供すると途端にお店のサービスは質を下げてしまうだろう。

 

いつでも大切なのは目の前のお客さんなのである。

 

「1人捕まえれば、その後ろに3人の見込み客がいるゾー!」などど殺気立っていては得られるものも得られないのは当然である。

ロイヤルカスタマーやファン作りに躍起になっている会社ほど今のサービスが人間味があるか考えてみるといい。折角だから近くにある老舗に足を運んでみたらどうだろうか。

今回、予約した焼肉は残念ながら台風接近でキャンセルになった。
台風が過ぎたらまた前田で予約する予定である。

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