TTPの勘違い 徹底的にパクることは目的ではない

TTP=徹底的にパクる の略。

病院勤務時代、この言葉をよく耳にした。当時、指導者や先輩の技術を学ぶための学習方法として教えられていた。言い方を変えると徹底的にマネをするということ。特に技術職ではこの傾向が強く、効率は悪かったが先輩の技術をよく観察して自分のものにしていくことで成長のキッカケを手に入れることができた。

 

これは、日本における茶道、武道、芸術の師弟関係の一つでもある守破離の守に当たる。

守は師匠の教えや型を守ることから始まる。その後、型が定着しそれを自分自身と照らし合わせて型を破りながら自分なりの型やスタイルを確立していく過程を破といい、最終的に師匠から学んだ型、自分なりの型その両方を理解して型から離れ自由自在に動ける状態に達することができる離の3つの過程がある。

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ビジネス業界でも同じくTTPという考え方はあるが、言葉を素直に受け取り徹底的にパクって世に送り出したらマズイことになる。トラブルの根源になることはもちろんだが、パクったビジネスモデルは多くの人に魅力を伝えることが難しいし、それ自体がパクリだといういう事実が知れ渡れば途端に世間の評判は悪くなる。

 

TTPを勘違いして欲しくないのだが、パクるやマネるというのはその芯に近付いていくために学び成長するためにするのであってパクるという表面的行為自体にそれほど大きな意味はない。

 

インパクト強めの言葉を使うために 徹底的にパクる と言っているだけで本当にパクって展開しては信用もお金も失う残念な結果を得るだけになってしまう。

 

起業家として、起業したなら自分なりのビジネスモデルを確立したいと考えるのは共通意識の一つだと思う。

TTPの目的は、そのビジネスモデルを深く学び、それを自身の事業展開に活用し、オリジナリティー溢れるビジネスモデルに磨き上げることにある。

 

学生時代、病院実習で指導担当になった先生に鋭い目つきで「見て盗め、盗んでできるようになればそれはお前の技術だ」と言われた。今でも私の芯の部分はそれがある。ネットで何でも調べられる時代にナンセンスなのかもしれないが、それでもこれは一つの事実だと言える。

 

コーディネーター

前兼久

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