2020年8月29日(土) オンラインで
ぼくらの宇宙アイデアソンーDayONE-が開催されました。

発表会の様子はYouTubeでも公開中です。
https://www.youtube.com/watch?v=AzSkr9oo_QQ&t=1159s

DayONE は「身近な気になる〇〇」x宇宙技術をテーマに、新型コロナから今日のお散歩コースまで、あなたの身の回りにある困りごとや気になる〇〇を、ロケット開発から人工衛星まで幅広い裾野を持つ宇宙技術で解決できないか、アイデアを発掘するイベントです。

◎アイデアソンとは
アイデアソン(Ideathon)はアイデア(Idea)とマラソン(Marathon)を組み合わせた造語です。新しいアイデアを生み出すために行われ、特定のテーマについてアイデアを出し合い、その結果を競うイベントです。多様性を持った参加者がディスカッションを行うことで、それまでになかったまったく新しいアイデアや課題の解決方法を見つけることができます。

◎アイデアソン実施の背景
近年、オープンイノベーションや技術革新のテーマとして「宇宙」を目指す企業が急増しています。
日本国内ではJAXAが宇宙生活の課題・ニーズを起点に、宇宙の新たな生活用品を創出し、宇宙・地上双方の生活を向上することを目的に「THINK SPACE LIFE」プラットフォームが創設されました。企業とのコラボレートとして、JTによる「宇宙から考える心豊かな“ひととき”」をテーマとしたワークショップや、sitateruによる「宇宙から考える衣服の価値」ワークショップなどが開催されています。すでに宇宙と地球でのデュアルユースの事例として、宇宙服のインナーの技術を応用した熱中症対策用品や、お風呂がない宇宙でも快適に過ごすための技術を使った消臭下着、様々な宇宙食などが誕生しています。

◎アイデアソン本編
イベントではまずセミナーセッションとして、
慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科
西野 瑛彦  後期博士課程/助教(有期・研究奨励)より
「システムxデザインで課題を解決する」と題し課題解決のアプローチやプロセスについての考え方をご教授頂きました。

次に
JAXA第一宇宙技術部門衛星利用運用センター 松尾尚子 主任開発研究員
より「宇宙技術の歩き方」と題し、宇宙環境の特徴、国際宇宙ステーションISSとその日本実験棟きぼうで行われている実験や、宇宙生活について、またJAXAがもつ、地域ごとのCO2濃度の測定や曇っていても地表面などが観測可能な地球観測衛星群についてご紹介をいただきました。

インプットセミナーののち、自己紹介を挟んで
チームまたは個人でのアイデア創出にトライいただきました。

出場各チーム・アイデア概要は以下の通りです。

①丑之日(うしのひ)プロジェクトチーム
アイデアタイトル:「洗濯物の乾燥予測アプリ」
衛星データなどを元に洗濯物の感想度合いを予測、お知らせするアプリの提案。
大型工事で天気がどうであれ必ず指定された時間に乾かし終わる装置も開発!
審査員・西野瑛彦先生コメント:
非常に身近なテーマを宇宙技術で解決しようとするアプローチが素晴らしいと思いました。この仕組みを逆にクリーニング屋さんに導入してもらうには、どういう風にプロモーションすればいいかということを考えてみると新しいサービスがデザインできるかと思いますね。アイデアとしては、私はとても気に入りました。ぜひこの発展型も考えてもらえるといいなと思いました。

②BAR BACCHUS(バー バッカス) チーム
アイデアタイトル:「宇宙で酒を呑む」
国際宇宙ステーションでお酒を呑むには?をテーマに可燃物としてのアルコールの取り扱いや、エアラインパイロットの乗務条件などを下敷きに、ジェルボール型のお酒を楽しめるモジュールを提案。
審査員・西野瑛彦先生コメント:
聞いていてお酒が飲みたくなってきますね。未来でどういう状況を作りたいか、でもなんでそれができていないのかということを丁寧に分析されていて、宇宙飛行士の一日の生活の中にそれを無理なく組み込むにはどうすればよいのか、そこまで検討されていて非常に聴きごたえのある内容だったなと思います。新しい宇宙との飲みのあり方なんて言うところまでさらに考えていけると面白いのかなと思います。一体感みたいなところですね。

③まっきーの さん
アイデアタイトル:「宇宙は地球のエネルギー源」
宇宙空間での太陽光発電の可能性と課題について技術や政策など様々な側面から詳細なリサーチを行った。
審査員・西野瑛彦先生コメント:
すごく難しいテーマをいろんな観点から分析されていてがんばっていたかなと思いました。た太陽光パネルを衛星のように宇宙に置いたり地球の周りをまわったりするときにそのエネルギーを地上に送る、それをじゃあ誰が使うのかとか、だれが責任を持つんだろうとか、その衛星から来たエネルギーを隣のうちは使っちゃいけないのか、隣の国は使っちゃいけないのっていう風に非常にいろんな人たちが関わってくる。誰かには利益になるけど、もしかしたら誰かには不利益になるかもしれない。そういう風に考えていかないとなかなか大きなプロジェクトは進まない。あと廃棄まで考えたのは素晴らしいと思います。こういう大きな仕組みを考える時に実現させるうえでどういう難しさがあって、それを乗り越えるためにどう頑張ったらいいのか、いろいろきっと学んでいただけたと思うので、いきなり実現するのは難しいですけれど、実現に向けた小さな一歩を踏むには何から始めたらいいのかということをぜひ考えてみてもらえるといいなと思います。

④TOWING(トーイング)チーム
アイデアタイトル:「家庭でできる月面栽培キット」
月面など宇宙環境で野菜を栽培するためのプラント技術を使って、自宅や自室で野菜を育て食育に繋げる。
合わせて栽培キット自体が量産されることで宇宙開発の現場でも使いやすくフィードバック。
審査員・西野瑛彦先生コメント:
人口肥料、人工栽培それから食育も、自ら管理していると野菜に対して愛着も沸くので、そういうコントロールをするって言ういろいろな要素を今回その宇宙という観点で見事にくくられたアイデアで非常によく検討されているなと感心させていただきました。これすごくいいアイデアなので私の中でプロトタイプというお話をしましたけどぜひちょっと作ってやってみるっていうことをされるといいと思います。ちょっとずつプロトタイプを重ねているとこのアイデアが実はすごく有効なんだということを最終的に示せると思うんですね。これはいろいろなプロトタイプの可能性があると思うのでぜひその結果も期待して楽しみにして待ってます。

⑤チームりんりん
アイデアタイトル:「宇宙から見守るあんしん通学路」
登下校時の局所的な温度変化をしきさい衛星のデータなどから分析。安全なルートを案内するほか、打ち水や緑化などで対策を実施、効果測定を行う。

⑥SITA(シータ)チーム
アイデアタイトル:「全天球MAPとシミュレーションで宇宙を自由に使おう!!宇宙ナビゲーション&宇宙不動産&宇宙遊泳教育」
宇宙空間自体をデータ空間に再現することで、宇宙で自由自在に行きたいところに案内してくれるナビゲーションシステムや宇宙に構造物を建築する際のシミュレーション、宇宙遊泳の疑似体験などを提供する。
審査員・西野瑛彦先生コメント:
3つともアイデアどれもなかなか夢があって聞いてて楽しいなと思いました。宇宙建築なんてなかなか面白いですよね。宇宙ステーションのみならずいろいろなものを作っていく段階でシミュレーションも必要ですし、データも必要ですね。そういうのに着眼されたっていうのは非常にいいところだなと思いました。あとはナビゲーションの話で、オリオン座まであと何分とかなかなか面白いと思ったんですけど、実は地上で初めて来た、初めて行ったような場所で日の出が何分とか、花火大会まで何分なんだ見たいなことがなかなかわからない、初めて来た場所でナビゲーションしてくれないとわからないってこと多くあると思うので、宇宙空間で難しいことが地上でできているかっていうと案外そうでもなくて実は地上でも課題だったりするんですよ。そうなってくるとまず地上で解決するやり方を考えて宇宙だとどうなるかと、宇宙から地上に目を戻してまた宇宙に目を戻すなんてことも必要・大事なことになってくると思うので、そうやってアイデアの実現性を高めていっていただけるといいなと思いました。

⑦Tohoku Space Community
アイデアタイトル:「ヒューストン、こちら故郷。」
VRやホログラム(視覚)・自然の香りを詰めたアロマオイル(嗅覚)・自然の音、生活音(聴覚)から宇宙で故郷にいる感覚を再現!
審査員・西野瑛彦先生コメント:
宇宙飛行士のみならず我々にもすごく便利だなと。我々も今コロナで外に出られなかったり、懐かしい景色などにも非常に役に立ちそうで、汎用性が高いなと思います。あとランニングに注目してたのはいいですね。自分の好きなジョギングコースがある人ってそれをお互いに共有してデータ化してVRで見られるようにすると、隣の人とあなたの故郷ってこんな感じなんだって一緒に走れたりする。バーチャルマラソンって地上でもすごくいいし宇宙でもすごくいいなと思っていて、体験をより深くデザインされていると宇宙にもっていく前にまずは地上でブレイクしていきますよね。スポーツとの掛け合わせはワクワクするし需要も高いのでぜひ実現に向けてブラッシュアップしてもらえばいいなと思います。

⑨SATORU YAMAMOTO さん
アイデアタイトル:「帰ってきた楽園」
誰かのSNSでのつぶやきを宇宙(衛星)に送信。衛星から地上の誰かに向かってその瞬間の宇宙を飛び交う電波(宇宙線)を変換した音とともに別の誰かにランダムで配信。宇宙への関心と、空を見上げる喜びを感じてもらう。
審査員・西野瑛彦先生コメント:
夢を与えるエンタメの要素と宇宙というのは非常に親和性が高いので、知らない誰かから空からメッセージが降ってくるコンセプトは夢があって、海にメッセージボトルの宇宙版みたいな。実現可能性をどう乗り越えていくかとありましたけど、そのコンセプトはすごくいいなと思いました。

⑩UCHUTARO(うちゅう たろう)チーム
アイデアタイトル:「災害後の通信確保大作戦!
避難所にモデルロケット缶サットを備蓄し上空でコンステレーションを展開。災害時通信の緊急復旧を行う。
審査員・西野瑛彦先生コメント:
情報には送る側と受け取る側がいて、その両方の観点で、どうやって缶サットを打ち上げたらいいかとか、受ける側はAEDで行くとうまくいくんじゃないかとかどっちの観点でもアイデアを考えられているのが素晴らしいと思いましたね。さらに実証もされるということでさらに深めてもらうのであれば災害時の自助、共助、公助という考えに沿って、誰でも打ち上げられるようにすること。複雑だと誰も打ち上げないかもしれない。災害が起きたときにきちんとこういう仕組みが回るようにするには技術のみならず、どういう社会の仕組みだったりを工夫したらいいかということまで考えてアイデアをさらに次のステップに進めてもらえればいいなと思います。

⑪Yuta Aokiさん
アイデアタイトル:「パンデミックを乗り越えイノヴェーションを巻き起こせ!惑星探査ローバー技術を活用した自律研究開発ロボット」
様々な分野の研究におけるラボでの実験や分析を惑星探査ローバーのセンサー群と自律性をアバターとして利用、自宅などから作業を遠隔で行えるようにする。
審査員・西野瑛彦先生コメント:
非常にアカデミックなテーマで私もコロナになっていろいろと研究活動が制限されて困ったり、苦労することも多いので、非常にいい着眼点だなと思いました。クリーンルームの例もありましたが、こういったローバーみたいなものを研究室に導入して自律的に助けてもらいやすい研究テーマ、実験室、ラボとそうでないものがあると思います。まずこれをラボといった空間に導入するとしたら、どういう分野の研究とかどういう内容の実験だったらこれがうまく機能してくれるのか。このローバーはすごく優秀ですけど、家なんかにもってきても家事は出来ないわけで、効果が発揮されるシチュエーションをより深めてシナリオを考えてもらえると、非常に可能性とか実現性も高いものになっていくんじゃないかと思いました。

オスカープロモーション・元AKB48の前田亜美さんも交えた審査の結果、
それぞれの賞が表彰されました。

宇宙技術賞
BAR BACCHUS チーム「宇宙で酒を呑む」

システムデザイン賞
TOWING チーム 「家庭でできる月面栽培キット」

前田亜美賞
丑之日プロジェクト チーム「洗濯物の乾燥予測アプリ」

未来創生賞
まっきーの さん「宇宙は地球のエネルギー源」
※本賞は発表会後、審査員からの強い推薦があり創設されました。

総評(審査員・西野瑛彦先生)
参加された皆さん、長丁場でしたけどお疲れ様でした。正直、どのアイデアも素晴らしくて甲乙つけがたい、なかなか一つに絞れないでした。皆さん、私も今日お話しした中で情熱をもって臨むということをお伝えしましたけど、本当に皆さんの熱意を改めて感じさせてもらいました。どのアイデアも素晴らしいものでしたが、どのアイデアも来年すぐに実現できるかというと、それはちょっと難しいかもしれません。ですがセミナーでお話ししたバックトゥザフューチャーの世界のように描かれた未来が実現しつつある。なので皆さんの今日のアイデアも今すぐではないにしても、もしかしたら近い将来に実現して、宇宙の技術によって誰かが笑顔に、自分かもしれないですし、大切な人かもしれないですし、課題が解決されるかもしれない。そこを夢見て、といっても夢見てるだけだと何も世の中は変わらないので、それに向けて今すぐできることは何なのかと。イベントで司会を務められた前田亜美さんの、YouTubeチャンネルの技術士のチャレンジも素晴らしいと思いますけども、そうやってチャレンジを積み重ねていくと、実現したい未来に向けてアイデアが実っていくと思います。今日がDay 1ということでしたけれどもぜひDay 2、あるいはさらにその先に向けてこのアイデアを膨らましてみんなで作り上げて未来を実現していけるといいなと思いました。本当に今日こういうイベントに参加させていただいて、私も大変勉強になりました。ありがとうございました。

次回は10月3日(土)―10月4日(日)の2日間にかけて、NASASpaceAppsChallengeが開催されます。
こちらは全世界で同時開催される宇宙をテーマとしたモノづくりイベントで、2019年には71か国から延べ29,000人が参加しました。
豊橋会場をはじめ国内各会場で開催予定です。

詳しくはこちらから
https://blog.spaceapps.jp/

お申込みについてはこちらから
https://spaceappsjapan.connpass.com/event/152277/

皆様のご参加をお待ちしております!